私はその当時30歳で結婚三年目の兼業主婦で、フルタイムの仕事をしながら家計を支えていました。
旦那とは職場で出会い、彼がアルバイトの時からお付き合いする事になり付き合って7年目で結婚しましたので、現状では付き合いから含めて彼との生活は10年の月日が流れました。
お互い初めて付き合った者同士で付き合ってすぐに同棲を始める程情熱的な付き合いだった事から、10年の付き合いでもマンネリとは程遠いところにいました。
子供はいませんでしたが仲良く暮らしていましたので、このまま仲良く暮らしていきたいと思っていましたが、彼の職が定まらず精神的な病気を患ったり、趣味のお金にかける金額を減らせなかったりと、お金の問題での喧嘩が増えてきたのも事実でした。
自分のお小遣いが減る事が許せず、学生の時も無職の時も再就職した後もとにかく自分のお小遣いが命の人で、お小遣いがないと頑張れないとまで言われた時は正直引きましたが、それで頑張れるならと容認してきたのもいけなかったのだと今は感じています。
私が肉体的な疲労により、高熱を繰り返していた時に仕事の時間を減らす相談をした時が運命の分かれ目でした。
私にしてはとても勇気を振り絞ってその話を彼に持ちかけたのですが、彼から返ってきたのは衝撃的な言葉でした。
俺のお小遣いは減らないよね?と言われた時、何かが終わった気がしたのです。
それまで無職の時も精神的な病気の時も一生懸命支えてきたつもりでしたが、彼が何よりも大事にしているのはお小遣いであり自分であり、私ではなかったという現実でした。
10年の付き合いで少しは私の事を大事に想ってくれるようになっているかもしれない、と淡い期待を抱いていた私には本当にショックな言葉で、私の体を心配していたのもお小遣いの為だったのかと分かった時、百年の恋も冷める瞬間だったのです。
10年付き合って変わらなかった人がこの先変わるとは思えず、彼との結婚生活にすっかり冷め切ってしまった私の元へ、元上司が出世して赴任してきました。
その上司とはあまり言葉を交わした事はありませんでしたが、7年ぶりに顔を合わせ、懐かしさと覚えていてくれた嬉しさで以前より親密になるのに時間はかかりませんでした。
二人の共通の趣味が見つかり、どんどん親しくなる内に一緒に出かける機会も出てきて、ある日結婚生活の相談で上司と二人で飲みに行く事になりました。
沢山色々な話をしてすっかり良い気分になって帰る時にベンチで休んでいると、ウトウトし始めた私にこっそり口づけをしてきたのです。
その事は気付かないフリをしたのですが、後日スポーツ観戦をして上司の車に乗って帰る時、車の中で告白され結ばれてしまいました。
その頃旦那とはほぼ家庭内別居状態で酷い状況だった事もあり、不倫になってはいけないという気持ちよりも気持ちを受け止めてくれる上司への気持ちを抑える事が出来ませんでした。
無職の時の事を彼の親に黙っていてほしいと頼まれ、私の親には何事もなかったように良い顔をし、自分のお小遣いの為に結婚式も挙げられずに結婚指輪も買えず、子供を作る事も出来ない生活に未来を夢見る事も出来なくなってしまったのです。
それなのにその話をすると逆ギレを起こし、話し合いにならない事も決定打になりました。
彼と会話する事も嫌になり身の回りの世話も嫌になってきて、彼は一生懸命修復しようとしていましたが、私には限界で離婚を申し込みました。
そんな事態になってやっと彼と様々な事を話せるようになりましたが、私の中ではもう遅すぎて離婚の決意は揺らがなかったのです。
彼も私の決意を感じ、自分の今までの行いを反省したのか、離婚へ協力してくれました。
彼には不倫となってしまった上司との一夜は内緒のまま離婚しましたが、その一夜が最初で最後の不倫になり、今でも後悔はしていません。
その上司とは元旦那と別れてすぐに付き合う事になり、そのまま再婚して子供も生まれ、今は幸せな家庭を築いています。
罪悪感を抱えつつ、私の中でその気持ちはお墓まで持っていこうと決意しています。